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NPO現場見学ツアー 電車・バス編
http://138cc.sblo.jp/article/189788318.html
当日は登録団体などから8名の参加がありました。現場に同行したセンタースタッフの魚住・今福より、当日の報告をいたします。
朝10時に知多半田駅で集合。みなさん15分前にはすでに集合されており、余裕をもって最初の会場へ向かうことが出来ました。
最初の会場であるクラシティの3階へは、駅から連絡通路を使って徒歩1分もかかりません。スタッフと参加者の簡単な自己紹介の後、さっそく第1部が始まりました。
●第1部 半田市市民交流センター
半田市市民交流センターでは、半田市企画部市民協働課の中村省吾さんにご説明いただきました。センターのある駅前複合施設「CLACITY(クラシティ)」の名前は、公募から半田市の特徴である蔵、暮らしやすい、クラッシック(落ち着いた)という意味をこめてつけられています。

近年、人口減少、少子高齢化により協働の重要性が増しています。そのような中、半田市で策定された「第7次半田市総合計画」や「半田市市民チャレンジ協働プラン」を中心にお話いただきました。
計画やプランの中では、協働を“まちづくりに共通する手法”として、半田市で改めて定義し直し、分かりやすく身近なものとして浸透を図っています。その結果、120という愛知県下第1位を誇る協働が生まれてきています。はんだ山車まつり、半田運河、ごんの秋まつり、半田赤レンガ建物など、半田市を代表する大きなイベントでも協働が行われています。


特徴的なのは、計画の目標が具体的になりすぎていないこと。様々な可能性を考え、身近なものに落とし込みながら理想を掲げる半田市の協働の在り方が見えました。
「Transforming Our World」私たちの世界を変革する=まちづくりの起点は「私」から。


●第2部 サイニングストア クラシカフェ
その後1階へ降りていくと、クラシカフェ店長の小牧八重子さんが迎えてくださいました。第2部では、手話を共通言語とする「サイニングストア」を開店するまでの経緯と、障がい者と健常者がフラットに過ごす空間づくりについて、美味しい珈琲をいただきながら教えていただきました。

クラシカフェは、誰もが注文しやすい指差しオーダーが採用されていることからも分かるように、障がいの有る無しにかかわらず、過ごしやすく、働きやすい空間になっています。また、手話ができるスタッフが1名は勤務しており、店員と客、客と客の間で、声・手話・ジェスチャーが織り交ざってコミュニケーションが生まれている姿が日常茶飯事です。

小牧さんは職場に聴覚障がいをもつ方がいたことをきっかけに、その後25年間続ける手話サークルに参加。珈琲の焙煎の師匠であるココチヤコーヒーのマスターとの出会いや、キッチントレーラーの製作などのご縁が重なり、2014年に移動カフェ販売事業を開業、2021年3月にクラシティ1階にクラシカフェをオープンしました。
開業時から大切にしてきたのは、「今、目の前の人を大切にすること」。25年もの間続く小牧さんの変わらない芯を学びました。
コーヒーは絶品!当日のスタッフは聴覚障がいをもつ方でしたので、手話でおいしかった!と伝えました。

その後クラシティで昼食をとり、知多バスで揺れること30分ほど。常滑市「本町」で下車して少し歩いて行くと、第3部「(有)豊田屋商店 みんなの縁がわ」が見えてきます。

●第3部 (有)豊田屋商店 みんなの縁がわ
店内に入ると、昭和のレトロ感が残る懐かしい雰囲気。駄菓子や地元のお酒等も販売されています。


お店の1階スペースで「みんなの縁がわ」の渡辺美佐さんより、立上げから現在に至るまでの経緯、コロナ禍のことや広報のあり方について等お話いただきました。
渡辺さんは実家である(有)豊田屋商店(酒屋)の5代目店主として、お店をこの町のために活用したいと考えました。人との縁をきっかけに書道やピアノ教室、カフェ、イベント等の場としてお店のスペースを提供する中で、多種多様な人が集い、運営に参画するコミュニティスペース「みんなの縁がわ」へと発展していきました。
コロナ禍のエピソードでは、渡辺さんが「人が集まれない今だからこそ何かできることはないか」と考えている時に、知り合いの農家の方から規格外トマトについて相談を受けた話が印象的でした。
購入した規格外トマトをFacebookで情報拡散すると、多くの方から購入希望がありました。日中は別の仕事がある渡辺さんは、店に常駐することが難しく、指定の日時にトマトを店の前に置き、お金はお店の中へ投かんしてもらうという形を取ったそうです。
お話の中で、渡辺さんは「決まった形にとらわれず、常にできることを探す」「何かせずにはいられない、前に進まなくても、その場で足踏みくらいはしていたい」とお話されていました。

広報についてはSNSと口コミが多いそうです。ただ、最近のSNSについては分からないことが多いので、分からないことは若者に聞いて教えてもらうのが一番!と渡辺さんは笑顔で話します。
今後も「まちにとって必要なこと、あったらいいなを実現できる場所でありたい」「アンテナを張っていると情報やタイミングがやってくる。そのときに対応できるようにしておきたい」とお話されていました。
●参加者アンケートより
・市民活動は人とのつながり、信頼、協力しあって広がっていくと思った。すぐには結果は出ず、10年20年と時間をかけて育てていくものと改めて感じました。
・やはり現場を見て、分かることがあると思いました。現地で、対面で見学できて良かったです。
・何か物事を進めるにあたっての努力と土台になるものの重要性を感じました。
・改めて、地域は”人”と確認できました。
・3ヶ所それぞれ居心地の良さがあって、だからこそ、人が集まってきているのだと思いました。
●ツアーを終えて
私がセンタースタッフになってから初めてのリアル開催の見学ツアーでした。オンラインは参加のしやすさやアーカイブの保存など良い点もありますが、やはり実際に現地に赴き、同じ空間でそれぞれのお話に耳を傾け、町を歩いて巡ることで分かることはとても多いと感じました。
ブログでお伝えできることは、ほんの一部です。今回はタイミングが合わず参加できなかった皆さんにも、ぜひまた現地に足を運んでもらいたいと思います。(スタッフ:魚住)
コロナ禍に入ってからなかなか現地へ行けない状況が続いていましたが、今回は新たなかたちで実施できたことにセンターとして学びがあったと感じています。また個人として、「思い続けて行動すること」で「人との縁」があり、「それを生かすことができる」、その結果として今があるということを改めて学びました。“今”にはその経緯が必ずあるので、そのお話をお聴きできたことは大変貴重でした。
参加者の方々もそれぞれのステージで感じ方や学びは違うとは思いますが、これからのステージへのヒントをこのツアーで少しでも得ていただけたらとても嬉しく思います。(スタッフ:今福)