2020年03月28日

NPO法人中部プロボノセンター主催『プレミアムプロボノプログラムin東海』報告会へ参加し、保育楽しも〜会の活動報告を聞いてきました!

令和元年度訪問事業No.216-22
訪問先:NPO法人中部プロボノセンター主催『プレミアムプロボノプログラムin東海』報告会(保育楽しも〜会活動報告)
2020年1月11日(土曜日)担当:今福

 NPO法人中部プロボノセンター主催の『プレミアムプロボノプログラムin東海』報告会へ参加し、半年間のプロボノ支援を受けた保育楽しも〜会の活動報告を聞いてきました。
※プロボノ支援期間中に保育楽しも〜会の活動へ訪問し、様子やインタビュー内容等ブログで紹介しています。
http://138cc.sblo.jp/article/186667206.html

◆各訪問団体の活動目的・内容(いちのみや市民活動情報サイトより)
NPO法人中部プロボノセンター
【活動目的】
 社会課題を解決しようとする非営利活動を行う団体(NPO)に対して、社会人の持つ知識、技能、経験を適切に提供することにより、非営利団体の事業活動をいっそう向上させることを通じて社会に貢献することを目的に活動している。
【活動内容】
 受託企業から登録、推薦された社員(或いは、受託事業で一般公募されたメンバー)をプロボノメンバーとして育成研修を行う。また、センターの登録団体に対して事業内容を告知し、団体の活動に寄与するために、プロボノ活動について説明会を開催する。その後、プロボノとNPO団体とをマッチングし、地域市民のために活動しているNPO活動の活性化に寄与する。(事業計画立案、業務改善プログラム作成、IT関係など)
https://www.138npo.org/info/group/kihon.php?group_id=495

保育楽しも〜会
【活動目的】
 専門性を活かして子どもたちとかかわる保育士の難しい仕事を応援支援します。仲間と共に学びましょう!
 保育士の仕事は、それぞれの家庭の大切なお子さんをあずかり、健全な成長を援助していくことです。しかし、昨今は忙しく様々な状況におかれている保護者に代わり、全面的にお子さんの生活を支えることが重要になってきており、幅広い知識と高度なスキルが要求される難しい仕事です。また、その知識やスキルは、保育士個人の努力に期待されていることが多く、忙しい勤務体制の中、同僚と学び合うことが、難しいのが現状です。例えば、保護者の就労に合わせ、保育園は長時間開園しています。保育士は、その開園時間に合わせ、早番、遅番などの時間差勤務をします。そのため、同僚との保育について話す、聞く、共有する時間がほんのわずかしかありません。その時間が少ないことで、仕事が閉鎖的になります。そんな保育士の仕事を、同じ園の保育士ではないけれど、つながりあい、学び合うことで、楽しくやりがいのあるものにしていきたいと思い、保育士の応援、支援をしています。
【活動内容】
その1:若い保育士や保育士を目指してがんばっている学生に、困った時には気楽に相談できるような、そんな場所を作ります。
その2:現場で役立つスキルを伝授します。
その3:保育に役立つグッズを貸し出します。
その4:ワークショップを開催しています。
https://www.138npo.org/info/group/kihon.php?group_id=472

◆『プレミアムプロボノプログラムin東海』について
 現役ビジネスパーソンが「プロボノ(※1)」として、非営利活動を行う団体(NPO)を支援するプログラムです。NPO法人中部プロボノセンターにてNPO理解の研修を受けた現役ビジネスパーソンが、団体の課題や悩みに対して、仕事で培った知識やスキルを活かしアドバイスや支援を行います。プロボノメンバーが支援先団体の課題認識を共有しつつ、企業で培った知識・技能・経験を適切に提供し、その支援全体を通じて社会に貢献することを目的としています。NPO理解の事前研修を受講した提携企業社員が、チーム(約 5 名)で支援に臨み、企業にとっても「企業の社会的責任(CSR)」を果たすことにつながるため、無償での支援活動が可能となっています。
(※1)プロボノ(特定非営利活動法人中部プロボノセンターHPより)
 社会人が自らの専門知識や技能を生かして参加する社会貢献活動です。「公共善のために」を 意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とすることばで「社会的・公共的な目 的のために、職業上のスキルや専門的知識を生かしたボランティア活動」を意味します。
https://probono-chubu.org/

◆『プレミアムプロボノプログラムin東海』報告会
 報告会はNPO法人中部プロボノセンターの事務所がある日本陶磁器センタービル(名古屋市東区)4階の多目的ホールで開催されました。

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 保育楽しも〜会の他、刈谷市のNPO法人かきつばたフレンズの活動報告がありました。2団体ともパワーポイントで半年間の活動についてまとめられ、自団体の活動報告の時には団体とプロボノ全員が前に立ち、プロボノリーダーがパワーポイントに沿って活動の報告をしました。2団体とも共通して、まずは団体がどのような目的でどのような活動をしているのかじっくり聴くことを大切にしていました。それをベースに、団体がどのような課題を抱えているのかを聞き、その課題に対し、調査や分析を通して全体を俯瞰して見て、今後の団体の方向性、この半年間でできることは何かを見出し、具体的な支援を実施していました。分析はSWOT、3C、PESTなどビジネス的な方法が活用されていました。それぞれに団体の課題は違いますが、その課題解決に向け、プロボノの方たちも真剣に真摯に寄り添いながら取り組んでいた様子が伝わってきました。
 この報告会は次期プレミアムプロボノプログラムin東海で活動予定のプロボノメンバーの育成研修も含めており、報告後の質疑応答では、活動のポイントなどを先輩プロボノへ質問する場面もありました。
 報告会後は懇親交流会があり、団体やプロボノ、企業、中間支援機関など、さまざまなセクター、立場の参加者と交流、情報交換など行いました。

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◆保育楽しも〜会の活動支援とその成果・結果のまとめ
〜団体の困りごと、必要な支援〜
団体の困りごと:活動への参加者が集まらない
団体に必要な支援:真の受益者(離職予備軍の保育士)を発見できるように、活動に参加する保育士数を増やすことが必要。参加者数を増やすために、「団体の目的・活動内容の明瞭化(法人化検討)」、「わかりやすく、伝わる情報公開(情報発信基盤の整備)」の2点の支援を実施。

〜経緯〜
団体と検討の上、法人化は一旦棚上げ ⇒ まずは基盤づくりとして、明瞭な定款作成を目指す、その先に情報発信力の向上、仲間集めに繋げる。

〜その成果・結果のまとめ〜
【成果】
・団体の定款・考え方の整理
 団体としての在り方を上手く表現出来ていなかった状態から、目的・活動内容・考え方が整理でき、相手に伝わる状態になった。インプットとアウトプットを繰り返すことで、代表自身が課題に気付き、克服したことが大きい。
・団体の視える化と情報発信のルール化
 定款を含めた、団体としての考え方を整理する中で、団体代表の『頭の中の整理と視える化』のために、HP及び情報発信ツール(主にSNS)の整備を用いた。それにより2次的効果として、定款同様、上手く機能していなかった情報発信ツールが機能する状態にできた。
【結果】
・参加者を集めるための基盤づくり完了
協力者が2人 ⇒ 3人に増加(一旦1人に減ったが、その後2人増加)
会員が6人 ⇒ 14人に増加
 団体の定款及び、代表の考え方を整理出来たことで、代表が団体及びご自身の考えに自信を持ち、更に、相手に視える・伝わる状態となったことが影響していると推測する。

◆保育楽しも〜会を支援したプロボノより活動を終えての所感とインタビュー
〜所感〜
【学んだこと】
・マーケティングのフレームワーク手法の座学と実務経験を経ることにより成長を実感した。
・問題の抽出・把握・解決のスキルレベルが上がった。短い時間で質問し、整理・把握し、更に質問し、深掘り、その後、整理といった思考・作業が想像以上に難しかった。
・事前研修で学んだことは非常に有用であり、それをベースに実践ができ、理解が深まった。
【気を付けたこと】
・団体との信頼関係構築を最優先と捉え、活動した。
・少々厳しい指摘も重要だが、その際は団体のモチベーション維持にも注意を払った。
・団体・メンバーに一方的、または過度な負担がかからないよう、お互いが補完し合える関係の構築に努めた。
【反省】
・団体の『目指す姿』を誤誘導してしまった。前半の終盤での団体の『目指す姿』を、団体と一緒に考えた際に、ビジネスマンの性で団体の規模を代表が望むレベルよりも大きく誘導し、代表を混乱させてしまった。
【感謝】
・我々の勝手な都合やアドバイスに反発することなく、聞き入れて頂いた団体代表に感謝すると共に、代表から有難い感謝の言葉を何度か頂いたことに、本活動に参加できたことを有難く感じる。中部プロボノセンター並びに研修に参加させて頂いた各企業様にも感謝します。

〜インタビュー〜
報告会後、プロボノ4名のうち2名の方にインタビューをし、今回の活動の感想も交えながら、団体、市民向けにプロボノやボランティアに関するメッセージを頂戴しました。

Aさん:プロボノ支援では、とにかく団体に寄り添うことを大切にしました。団体や市民へのメッセージとしては、団体も企業もプロボノという社会貢献に遠慮なく門を叩いてほしいです。団体は市民がより良い生活が送れるよう活動しています。企業もそこに共感して支援しているので、市民の方も団体の支援を使ってくださいね。

Bさん:企業で働いているけど、社会貢献したい、どうしたらよいのかわからないという人たちはけっこういると思います。団体はそういう人たちに活動するチャンスを与えてあげてください。私は今の仕事で「ありがとう」と言われることないですし、ビジネスマンとして新境地を作りたいという想いもありました。ぜひ積極的に団体側も「こういう人がほしい」というのを発信してくれると、団体側とプロボノ(ボランティア)、お互い良い関係がつくれるかなと思います。市民の方に伝えたいのは、ボランティアは活動だけでなく、寄付というかたちもあります。寄付はお金だけではなく、物でもいいんです。保育楽しも〜会さんの場合、布などの提供でも助かります。実際に布を提供したいと思っている企業があっても、保管場所がないという問題もあり、場所を提供するという支援もできます。

◆保育楽しも〜会代表の伴野さんへプロボノ支援を受けての感想をお聞きしました
 率直に「楽しかった!」ですね。プロボノはとても温かく、人柄の良い話しやすい方たちでした。上から目線ではなく、保育についてわからないので教えてほしいというスタンスで・・・だから本音を言うことができました。最初は正直よくわからずスタートしましたが、自分の思いや団体の目的が明確になりました。これまで団体の活動に協力してくれる人は友人でしたが、最近は団体の活動目的を知って共感し、協力してくれる方が現れるようになりました。活動目的をしっかりと伝えられるようになったことは大きな進歩だと思います。
 たくさんの情報があり、なかなか隅々まで見ることは難しいので、センターにこのような(プレミアムプロボノプログラムin東海)説明会があることを教えてもらえたことは良かったです。

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◆活動訪問とインタビューを通して感じたこと(今福)
 各団体スタッフもプロボノの皆さまも半年間、本当にお疲れ様でした!それぞれの得意や不得意、凸凹を埋め合えるようなWinWinなかたち、とてもいいなと思います。
 今回の報告会に参加し、企業の力が活かされているなと感じたのは、調査と分析。ビジネス分析は、その団体の強みや弱み、状況、立ち位置などを客観的に捉えることができました。調査に関して、上記に記載していませんが、もう1団体のNPO法人かきつばたフレンズの調査が印象的でした。当初の目標は就労継続支援B型事業所の利用者(障がい者)へ支払う「工賃を上げたい」でしたが、調査を通し、真の目標は「刈谷で利用者が地域で安心して暮らしてもらうために充実したサポートを提供したい」であることに気付くことができました。その調査の一つは、利用者と相談員へのアンケート。利用者が利用を決めた理由、相談員が紹介にあたって重要視する点の1位、2位は工賃ではなく、「施設の雰囲気」「職員の対応」でした。工賃アップも大事だと思いますが、そこに注力して施設の雰囲気や職員の対応が後回しになってしまったら、真の目標(目指す姿)とはズレが生じてしまったかもしれません。調査と分析の大切さを感じたエピソードでした。
 今回、保育楽しも〜会の伴野さんは自分の思いをプロボノとの対話や支援を通して明確化、言語化、視覚化することができました。「思い」は原動力なので必ず必要だと思いますが、支援を本当に必要としている人、活動に協力してくれる人へ伝えるには、伝わる環境が必要だと改めて感じました。
 センターとして、引き続きこのような活動へ協力していきたいと思っています。また、センターが登録団体へ直接相談支援も行っています。活動目的と活動内容を明瞭化、より伝わりやすい内容にすることや広報支援など、お気軽にお声がけいただきたいです。
 最後に、この報告会に参加して団体やプロボノの方たちとお話し、結局は「人と人」だな・・・と感じました。NPOや企業、行政といったセクター、また、さまざまな背景や立場がありますが、それよりも、一人の人として関わる気持ちや姿勢が最終的には良いかたちを生んでいくのだと思いました。
posted by iCASC at 15:19| インタビュー(訪問事業)