令和4年度 No.264-11
訪問先:いちのみやういーぶ
2022年8月23日(火)(訪問スタッフ 魚住)
■いちのみやういーぶとは?一宮市民の一人一人が考え、尊重しあい行動できる街になることをめざす団体です。その時々のトピックを捉えながら人が出会う機会をつくり、多様で新しい価値観を発見・共有し、お互いに理解しあえる場をつくっています。
情報サイト▼
https://www.138npo.org/info/group/index.php?group_id=574代表の福岡さん、メンバーの岡田さんにインタビューしました!
■活動のきっかけは?福岡県出身の私は、生まれ育った市町について様々な歴史や文化を学校で学んでいたので、一宮市で子育てをしていて学校では市の文化をあまり深く教えていないとわかり、とても驚きました。市民が一宮について、産業についても意外と知らないことが多いように思います。
この団体の活動は市民一人一人が考え、その価値観を共有し、互いに尊重し合えるような機会づくりを目的としていますが、その中で触れる一宮の様々なトピック、その時々のトレンドやイベントによって、地元の歴史や文化を知ること、体験すること、一宮市に愛着や誇りを持てるように手伝うことも、大切に思っています。
■138welcome&art project welcome to 138一宮が誇る毛織物や糸を使って作られたカラフルないきものたちが、国際芸術祭「あいち2022」で訪れた人々を一宮駅のコンコースで迎えるプロジェクトです。いちのみやういーぶと一宮北ロータリークラブが協働し、企画・運営しています。
展示会場:一宮駅コンコース 東口付近
展示期間:8月1日(月)〜10月10日(月・祝)
センター通信でもご紹介しました▼
http://138cc.sblo.jp/article/189786773.html 

今回は、より多くの「尾州織物を深く知らない人」へ伝えるため、尾州織物の産業に携わっている人が考えた方法ではなく、深く知らない外部の人間の視点で考えました。価値ある丈夫な布を切って貼って”いきもの”を作るという、布の正しい使い方とは言えないやり方ですが、そこに意味があると思いました。
最初はこんなに立派なものができあがる構想はありませんでしたが、一宮市にあるものやご縁を「ういーぶ(weave)」の名の通り1つ1つ織り合わせ、紡いでいったらとても素敵なものができました。国際芸術祭「あいち2022」という機会、一宮の織物文化、作家のみなさん、i-ビルという場所、エコ建築考房のやぐら、一宮北ロータリークラブの支援、協力してくださった皆さん、すべてが繋がってくださったからこそのものだと思います。

■印象的なエピソードは?コンコースで作品を見ている人の様子が印象的でした。子ども達は、作品を作った子も作っていない子も、喜んで周りを回ったり、興味を示してじっくり見ている様子を結構見ます。20分ほどとどまる子もいたり。
また、織物産業に昔携わっていた方は良い布を使っていることをすぐに理解され、作業をしている私たちに「昔は賑やかだったけれど、今はね…」と今の状況を残念に思う気持ちを伝えてくださることが何度もありました。
また、思ったより自分の作品に思い入れができた人も多く、飾るために作ったとは言えスタッフにも作品を渡したくない子どもや、手元に置いておきたい大人が続出したのも印象深いです。当初、集めた作品を返す予定はありませんでしたが、急遽お渡し会を行うことになりました。
※10/10(月・祝)「カラフルいきもの」お渡し会を開催予定。Instagram(@138w2022)をご確認ください。(
https://www.instagram.com/138w2022/)
■今後の展望は?布の価値を知らなくても、織物に触れて楽しむ子どもたち。
地元の人も、心の底では織物産業のこれからに期待しているのでは?と思われる反応。
誰よりも大人が真剣に制作に取り組んでいる姿や、「展示を見た。私もやりたい!」という声を受けて持ち帰りキットを増やしたこと。
コロナ禍ではばかられていたことを思い出すように、作品の制作過程やコンコースの展示をみんなが触って喜んでいること。
どういう芽が出るかはわかりませんが、産業の大切さや実際に体験することの大切さなど、時と共に薄れていったものへの問題提起の種はまけたのではないかと思います。
また、市民活動に対する助成金、ロータリークラブからの支援があったからこそ、質の良い織物を多くの人に触ってもらうことが出来ました。協働の大切さを改めて感じています。

■活動上の課題や、困りごとは?活動資金については、常に考えています。
他のことというと、場所ですね。今回のように一宮市民に広く知ってもらいたい活動をするときには、市民の人と距離の近い場所で途中の作業を見てもらえるような、コミュニケーションが生まれる場所があると理想だと思います。本町商店街の商店など、知らない人が「なあにそれ?」とフラっと見に来られる、開けた作業スペースを探しています。
■訪問して(スタッフ:魚住)インタビュー中に伺った「名古屋の道端で作業をしていても声をかけられることは滅多にないが、一宮駅のコンコースで作業をしていると声をかけてくれる人が結構いる」という話も、一宮市で生まれ育った私には大変興味深いものでした。
県外で生まれ育った代表の福岡さんと、現在も市外にお住まいの岡田さん。一宮市の外で生活経験のあるお二人は、「その自分たちだからこそ、この一宮市で思うこと・できること」をひとつひとつ丁寧に考え、実践していらっしゃいました。
相手の話を聴いて価値観を尊重するという目の前の小さなことから、一宮市の人、文化、場所といった多様で大きな可能性を感じさせるいちのみやういーぶの活動、これからも紡がれ、広がり続けてほしいと思います。
posted by iCASC at 11:16|
インタビュー(訪問事業)