令和2年度訪問事業No.255-7
NPO法人おさんぽや × 日本たばこ産業株式会社
JT SDGs貢献プロジェクト事業「みんなで緑をふやそう!大作戦」
取材日
NPO法人おさんぽや:2021年1月25日(月) 市民活動支援センター
日本たばこ産業株式会社:2021年2月2日(火) 市民活動支援センター
普段から悩める親や子どもの環境教育のため、対面に加えオンラインでも様々な事業を展開し続けているNPO法人おさんぽや。日本たばこ産業株式会社(以下、「JT」)が取り組む「JT SDGs貢献プロジェクト」の助成金申請にチャレンジし、見事助成が決定しました。今回は、申請の経緯や込められた思いをご紹介します。
●NPO法人おさんぽやとは? 子どもとその親、子育てに関わる全ての人に対して、環境教育や子育て支援に関する事業を行い、孤独になりがちな子育て環境や子どもが育つ中で起こる問題の改善や解決を図り、時代と共に変化する子育て環境に対応しつつ、家庭や地域全体で子どもを育てる力の向上に寄与。
活動内容は、おさんぽ会・子育てまちづくり・食育・子育てイベントなど4つの事業を展開しています。
※いちのみや市民活動情報サイトより
https://www.138npo.org/info/group/kihon.php?group_id=365●JT SDGs貢献プロジェクトとは? JTグループの地域社会への貢献における重点領域、「格差是正」「災害分野」「環境保全」における課題解決へ取り組む団体の事業を支援するプロジェクトです。地域社会の様々な団体とのパートナーシップを基盤に、JTグループの地域社会への貢献の3領域及び関連するSDGsへの貢献を通じて、包摂的かつ持続可能な地域社会の発展に向けて取り組んでいます。
2021年3月以降の応募は、6月と12月の年2回の受付となります。
●経緯 2020年7月にプロジェクトへ1度目の申請をするも、残念ながら採択されず。その後、申請内容見直しのため市民活動支援センターに相談し、申請書の書き方や内容についての助言など支援を経て同年9月に再度申請。「環境保全」分野で100万円の助成が決定しました。同年11月から事業を開始しています。
2021年1月25日にi-ビル シビックテラスで助成金交付式を開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となりました。
●申請した事業内容 今回助成が決定した事業は2つあります。1つは「おうちで野菜を育てる体験」、苗・土・肥料・プランターと解説書を事前配布してオンラインで定期的に交流しながら家庭で野菜を育てる事業。この事業に関わっているはつらつ農業塾のカリカリクラブ(※1)は、数年前に当センターが紹介してから継続しておさんぽやの農業体験などに協力しています。そしてもう1つは、「おさんぽやのみんなで子育てラジオ」、FMいちのみやで月に2回、SDGsや子育てに関する情報を発信する事業です。
どちらも環境保全について考え、コロナ禍で人々が繋がることを大切にされています。
(※1)はつらつ農業塾のカリカリクラブ…はつらつ農業塾は、農業従事者の高齢化と後継者不足、担い手の不足による農地の遊休化を少しでも解消し、農業の明るい未来のため平成20年8月に開校した一宮市の事業。カリカリクラブは、はつらつ農業塾を卒業した方々が活動する有機農業クラブ。
【NPO法人おさんぽやインタビュー】 インタビューに答えてくださったのは、NPO法人おさんぽや代表理事の安藤さん、理事の戸松さん、長谷さんです。
●プロジェクト申請について 子どもたちは何かに触れたときに多くの発見をし、その発見によって成長する可能性を秘めています。そんな子どもたちの成長が積み重なってやがて大人になり社会に出て行くことから、おさんぽやの活動には、小さいころから緑に触れる機会を大切にしたい、その緑を増やしていきたいという気持ちが込められています。安藤さんたちは、新型コロナウイルス感染症の影響で外出に制限がある中でも、子どもたちが緑に触れる機会を守ることができないか、子育てに奮闘する親同士が繋がることはできないか、と考えていました。
そんな時にJT SDGs貢献プロジェクトの環境保全の理念がうまくマッチし、新しいチャレンジに踏み切ったとのことです。
理事の長谷さんによると、今回の事業はラジオで話すことや芋掘り以外の農業体験など初めてのことばかりで、ドキドキの連続なのだそうです。「大人になってからは少なくなった”初めての経験”は、子どもにとっての初めての経験や発見に心から共感して寄り添うための経験にもなりますね。新たな事業にチャレンジする機会を大切にするとともに、楽しんでいきたいです。」と話してくださいました。
●みなさんの頑張る「源」は? マッチング事業、プロボノ、助成金申請と、おさんぽやはNPO法人化する前からずっと積極的に活動されています。みなさんの頑張る「源」はどんなところにあるのでしょうか?
理事の戸松さんは、「団体立ち上げのきっかけには、自分が安心してポジティブに子育てできる環境に身を置きたかったことがありました。子育ては社会から少し切り離されるので、一生懸命働いている社会的立場から一気に自分以外に誰も褒めてくれない環境になって自分の無力感を感じやすいんです。同じ思いの人と繋がりあいながら一緒に子育てができたら良いな、というのが根底にありました。」と話され、そんな切なる思いで繋がった方々の話し合いでは、意見を否定されることはあまりないとのこと。まずは「それ、いいね!」と応援してくれるスタッフが多く、うまくいかなくても、もう一回やってみよう、次に行こう!という気持ちになれるのだそうです。
代表理事の安藤さんは、「様々な方々が親身になって相談にのってくださったり、多様な視点からの話や提案を出して世話を焼いてくださったりと、気付けば自分たちだけの事業ではなくなっていました。今回助成してくださったJTさん、様々な事業に協力してくださっているはつらつ農業塾のカリカリクラブさんと、彼らの活動から繋がったモンタボーさん(※2)、何度も修正しながらチラシを作ってくださったCOCOiROさん(※3)、そして様々な相談にのってくださった支援センターさん。そんな皆さんがいてくださるから、私たちもさらに頑張ろう!という気持ちになります。地域と繋がりながら活動することを、この事業で勉強させてもらっています。」と話してくださいました。
(※2)モンタボー…一宮市の石窯ベーカリー。お店のテラスではつらつ農業塾のカリカリクラブによる、野菜の朝市を開催。
(※3)自立支援事業COCOiRO…岐阜市で発達特性と引きこもりの方の自立就労支援サポートをしている団体。
【JTインタビュー】 インタビューに答えてくださったのはJT東海支社一宮支店支店長の水谷さんと課長の久保田さんです。
●おさんぽやの事業の魅力とは 「オンラインでの緑化事業ということで、まずは“新しい!”と思いました。」と話してくださった久保田さん。続けて、水谷さんも「新型コロナウイルスの影響で事業の開催が難しい昨今、コロナ禍を想定して事業を考えられているのも魅力的です。環境という長い期間で考える題材に対し、対象が子どもという点では未来へつながる利点も大きいと思います。」と教えてくださいました。
●JT一宮支店の一宮での活動 上記に加えて、おさんぽやが普段から地域に根ざした活動をしていたことにも着目されていた水谷さん。JT一宮支店も常日頃から地域に根ざした活動や、今回の助成領域である環境保全の活動をされていると伺っていましたので、詳しくお聞きしました。
JTグループは、「ひろえば街が好きになる運動」など地域密着型の清掃活動や、「JTの森」などの環境保全活動を始めとした地域社会への貢献に取り組んでいます。JT一宮支店としても一宮七夕まつりや杜の宮市といった地域のイベントに積極的に参加するなど様々な地域社会への貢献を行い、一宮市からサポートカンパニー(※4)にも認定されています。また、日本全国のたばこ販売店による「全国たばこ販売協同組合連合会」の加盟員として、地域の清掃活動も行っているそうです。
「これからも地域と様々な繋がりを持ちながら、一企業として、地域や環境の課題解決に対して何ができるかを模索していきます。」と力強く話してくださいました。市民活動支援センターとして、企業と団体、組織と団体など、多様なコラボレーションやマッチングを応援しています。
(※4)サポートカンパニー…企業や事業者が既に行っている社会貢献活動を明確にし、その貢献度を測ることによって市が認定する、地域に貢献されている企業・事業者。現在170社ほど認定されている。

↑取材の打合せには、支店長代理の知念さん、課長代理の今川さんも来てくださいました。恐縮です!
●市民活動支援センター地域相談員 今福より 今回、NPO法人おさんぽやの安藤さんより相談を受け、助成金申請の内容や書き方についてサポートをしました。具体的には、申請内容についてお話をお聴きした上で不明確なことを質問し、全体像を整理して「こういうことですか?」と確認するところから始めました。そして、地域の解決したい課題や目指す未来、具体的な事業内容との関係性を確認し、必要に応じて修正をしていきました。またそれをどう申請書や予算案に表現していくかを、一緒に検討していきました。
改めまして、おさんぽやさん、この度はおめでとうございます!日頃より地域や市民のために活動されている団体をこのようなかたちで応援できることは、個人としても大変嬉しく思います。
助成金申請等の資金調達のほか困りごとなど、他団体の方もお気軽にご相談ください。
●インタビュースタッフ 後記 今回のインタビューでは、「子育ては一人ではできません」というおさんぽやさんのキャッチコピーが何度も話にあがったのが印象的でした。個々の事業も、団体運営も、SDGsへの取り組みも、一人ではできなかった部分を他の人々や団体と繋がっていくことで支え合って進めていくことができる。協働の大切さ、可能性の大きさを生の声として教えていただいた取材でした。
センタースタッフとして、団体運営やマッチング事業の意義について改めて学ぶと共に、これからも広がり続けるおさんぽやさんの可能性にわくわくしています。
(スタッフ:魚住)
参考@:NPO法人おさんぽや
情報サイト:
https://www.138npo.org/info/group/kihon.php?group_id=365 Webサイト:
https://peraichi.com/landing_pages/view/osanpoya/参考A:JT SDGs貢献プロジェクト(JT Webサイトより)
https://www.jti.co.jp/sustainability/community_investment/sdgscontribution/index.html参考B:プレゼント付き☆募集 おうちで野菜を育てる体験しましせんか?(おさんぽやブログより)
https://ameblo.jp/osanpoya-fuunomi/entry-12654088625.html(スタッフ 魚住)